【書評・感想/人生の勝算-前田裕二】「人生のコンパス」もっていますか?

『人生の勝算』のプロローグにこんなことが書かれています。

単なるビジネス本は書きたくなかった。この本を手にとってくれた方が、自分の“人生”そのものについて、勝算を持つ。そんな、温かい本を書きたかった。

「人生そのものの勝算」。自分にとっての「人生の勝算」とは何だろう。

 

そんなことを考えるきっかけとなる、本当に温かい1冊です。

 

この記事では、僕が『人生の勝算』を読んで、特に良かったなと感じた部分に絞って紹介します。「もっと読みたい!」と思う方は、ぜひ手に取ってみてください。

 

前田裕二の原点「ギター弾き語り」

ストリーミングサービスを展開するSHOWROOM株式会社をつくった前田裕二さん。

 

そんな彼の原点となっているのが、小学生時代に路上で行なっていた「ギター弾き語り」。

 

前田祐二は物心がついた頃から父親がおらず、8歳の頃に母親を亡くします。そして10歳年の離れた兄と暮らすことになるのです。

 

そんな暗闇の中にいる彼が出会ったのが音楽。その音楽がきっかけとなり、次第に先天的な逆境を乗り越えていきます。

 

弾き語りを始めた当初は、月の売上が500円ちょっと。小学生が500円というお金を自分で稼ぐこと自体すごいですが、彼は半年間工夫を続けることで月に10万円ほどを稼ぐようになります。

試行錯誤の中でわかった最も重要なことは、「濃い常連客」を作ることでした。

この「濃い常連客」を作るために3つのステップがあります。

 

「会話のキャッチボールができる”コミュニケーション可能範囲”に入ってきてもらう」「時間差でリクエストに答える」「絆が生まれたお客さんに、オリジナル曲を披露する」の3つです。

 

そして、この経験が今のSHOWROOMへと繋がっています。

先天的な音楽の才能がなくとも、①絆、②絆の集合体であるコミュニティ、そして、コミュニティの集合体であるプラットフォームさえ作れれば、影響の範囲を乗数的に広げていくことができる。いわば、ビジネスを通じてであれば、影響範囲とその深さという観点で、ビートルズにさえ勝てるかもしれない。自分の野望を、音楽家ではなく、偉大な事業化になることに定めたのは、そんな背景がありました。

彼自身の過去の経験から、後天的な努力は報われるという「場」を平等に提供しているものがSHOWROOMであるということがわかります。

 

人生というドラマの中ではしばしば、自らではコントロール不能な何らかの外部要因が、一見打ち手のなさそうな試練を与えてきます。そこで、決して、運命に屈してほしくない。突如立ちはだかる壁やハンディキャップは、後天的な努力によって必ず乗り越えられる。世間との競争にとらわれずに、外でもない、自分の運命と真剣勝負で向き合ってほしい。人ではなく、運命に負けないでほしい。

 

外資系銀行でも求められる「思いやり」

この投資銀行での話は、学生、ビジネスマンにとって、最も学びが多い内容ではないかなと僕は思いました。

 

親戚の家で幼少期を過ごた後、大きな成功、成長を渇望していた前田祐二は、大学卒業後、外資系の投資銀行へ就職します。

 

そこで、超えられそうになかった「宇田川さん」に出会います。宇田川さんは、営業成績はずっとトップ、最年少でUBS株式営業部のManaging Directorに抜擢された、超エリートです。

 

ある時、前田祐二が宇田川さんに「この仕事をする上で、勉強しなくてはならないことは何ですか?」と聞いた時の答えがとても印象的です。

勉強なんかいらないよ。とにかく人に好かれること。秘書でも、掃除のオバちゃんでも、受付の人でも、好かれなくちゃダメだ。

そして、人に好かれるためには、まずは相手のことを自分が好きにならないといけない。

宇田川さんは人に好かれる天才ですが、それ以前に、「人を好きになる天才」でした。

 

そして、ここに僕が本書で最も好きな部分が書いてあります。

宇田川さんと出会って以来、僕はとにかく、無条件で相手を好きになることを心がけています。プライベートでもビジネスでも関係なく、全力の愛情を持って接したいと思います。

人に好かれることは自分ではコントロールできないが、人を好きになることは自分でコントロールできる。そんなことが書いてあります。「人から好かれる」ということも、後天的な努力で身に付けることができるのですね。

 

この部分を読んでから、胸が熱くなるような思いがしました。「愛情」。大好きな言葉です。

 

最も大切なモチベーション、そして人生のコンパス

外資系銀行でトップの成績をとった前田祐二は、アメリカへ渡ってもトップの成績をとります。

 

そんなある時、親戚のお兄ちゃんの訃報をきっかけに、自分は世の中に代替不可能な価値を残せているのかということを考えるようになり、SHOWROOM起業へと繋がっていきます。

 

そして彼はSHOWROOMに人生をかけている、また、仕事の成否はモチベーションによって大部分が決まるということを述べています。

同じ時期に入った新人でも、著しい営業成績を達成している人が必ず1人はいます。その彼と玉砕した社員との違いは、会話スキルや運ではない。モチベーションであり、エネルギー量の違いだと思います。

モチベーションはあらゆる仕事術に勝ります。

外資系の銀行時代も、仕事への熱の投下量が誰よりも多かったから、勝利を重ねることができたと述べています。

 

しかし、どんなに熱を投下しても、その熱を見極めていないと無駄になってしまいます。

 

モチベーションが高まらない人の多くは、見極めが甘い。自分という大きな航海に出ているのに、方角を示すコンパスを持っていない。自分の進むべき道を定めていないから、途中でどこに向かっているのかわからなくなり、広い海の上で途方にくれます。そうなったら、一旦陸に戻ってでも、自分自身のコンパスを得るのが、結局遠回りに見えてベストだと思います。

そして、方角を示すコンパスを持つために「自己分析」が必要であると述べています。

実りある人生を生きる上で、コンパス、つまり、自分は何を幸せと定義し、どこへ向かっているのかという価値観の言語化は、必要不可欠です。

「自分は何を幸せと定義し、どこへ向かっているのかという価値観の言語化」、これがまさに本書での「人生のコンパス」ということになるのです。

 

エピローグにもこんなことが書かれています。

人生の価値観、向かうべきベクトルを明確に持つこと。つまり、「人生のコンパスを持っている」ということです。コンパスを持つためには、とことんまで自分と向き合って、自分の心と深く対話する必要があります。

自分の内面と必死に向き合う過程で、僕は、大変な宝物をもらいました。

それは、「人生の勝算」です。

 

書評まとめ

この記事では、前田祐二さんの著書『人生の勝算』の書評をしました。

 

読み進めていく中で胸が熱くなる、そして、自分の人生の勝算は何かを考え、1歩進む勇気を与えてくれる。そんな温かい1冊です。

 

これから先の人生、悩んだとき、つまずいたとき、この本に帰ってこようと思います。

 

この記事で紹介できたことは、ほんの一部です。「心から熱くなる本を読みたい」「自分は何をしたいかわからない」、そんな人はぜひ手にとって読んでみてください。