【書評まとめ】「転職の思考法」就職前の大学生も必ず読むべき1冊。

私はこの本を通じて、すべての人が「いつでも転職できる状態」をつくりたいと本気で願っています。なぜなら、すべての働く人がいつでも転職できるだけの「市場価値」を持てたとしたら、あなたの生き方すらも変わる可能性があるからです。そしてそのために、必要なのは単なるうわべの「転職情報」ではなく、情報を見極める「思考の軸」です。

 

終身雇用の崩壊や、45歳以上の早期リストラなど、「働く」ということに関する話題が近頃かなり多くなっています。

そんな時代だからこそ、「今の働いている環境をどうしようか」「これから就職活動だけど、どのように会社を選ぼう」と悩んでいる方は多いと思います。

 

そんな時に読んだ、北野唯我さんの「転職の思考法」。この本は、転職を考えている方はもちろん、これから社会に出て働く学生にとっても、勉強となることがたくさん書かれている1冊。

そこでこの記事では、大学生の僕が「転職の思考法」を読んで、就職をする前の学生にも参考になるなと感じたところを中心に、書評をしていきます。

仕事の「寿命」が尽きる前に、伸びる市場に身を晒せ

転職、就職を考える上で1度は耳にする言葉、「市場価値」。マーケットバリューという言葉で聞くこともあります。

市場価値とは、その名の通り、今の会社での価値ではなく、世の中からみた君の勝ち、君の値段だ。

 

この市場価値を測るための「9の質問」というものが本書では書かれています。それが下の9つ。

・会社を変えても、価値のあるスキルはどれだけ持っているか?

・そのスキルの「賞味期限」はいつまでか?

・他の会社でも通用する「レアな経験」がどれだけあるか?

・その経験は、世の中からどれだけ「強いニーズ」があるか?

・社内に、自分が会社を変えても、喜んで力を貸してくれる人がどれだけ存在するか?その人物たちは、意思決定の力がどれだけあるか?

・社外に、自分のために喜んで力を貸してくれる人物がどれだけ存在するか?その人物たちは、意思決定の力がどれだけあるか?

・自分が所属しているマーケットの「一人当たりの生産性」はどれだけ高いか?

・自分が所属しているマーケットに今後の「成長性」はあるか?

・今後、どれだけ「自分の市場価値」は成長が見込まれるか?

少し多いですが、これを見るだけでも「市場価値を高めるために必要なこと」を考えることができます。

 

そして、「一生食える」ために必要なことが、自分の市場価値を知るということ。

 

本書では、市場価値は「①技術資産 ②人的資産 ③業界の生産性」の3つで決まると書かれています。この3つをもう少し詳しくみると、下の通り。

①どんな会社からも必要とされる、高い技術力を持った人間

②どんな人間とも仲良くなれ、可愛がられる力を持った人間

③特に才能がなくても、安定して高い給与をもらい続けられる人間

 

技術力をつけることができる会社を選ぼう

技術資産とは、その名のとおり、価値のある技術をどれくらい持っているか?だ。そして、技術資産は「専門性」と「経験」でできている。

 

専門性は職種に近く、営業やマーケティング、会計や税務など。様々な技術資産があります。

反対に、「経験」というものは、事業部長の経験やプロジェクトマネージャーなど、「職種に紐づかない」技術。学生の段階では、ほとんどの人がこれを持っていませんね。

 

そして、本書では、繰り返し以下のことが書かれています。

20代は専門性、30代は経験、40代は人脈が重要なんだ

 

 20代のうちはとにかく専門性で勝負しろ。なぜなら経験は誰にでも回ってくるものではないから。

つまり、専門性のある人間にこそ、「貴重な経験」が回ってくる、こういう構造なんだ。そもそも、「貴重な経験」は簡単に得られるわけではない。会社の重要なプロジェクトはいつも専門性の高いエース社員が任せられるだろ?当たり前だ。言い換えれば、専門性のない奴に打席は回ってこない。だから、20代は専門性を身につけて、それを生かして30代は経験をとりにいくのがベストだ。

 

就活をする上で、会社を選ぶ軸というものは悩みますが、「専門性をつけることができるか」という軸を持つことも1つであるということがわかります。

 

業界の生産性を見よう

同じぐらいの忙しさなのに、金融業界で働く人が20代で2000万円稼ぐ一方、30代後半の人が200万円で働いている、などということがあります。

その業界にいる人間が、平均一人当たりどれほどの価値を生み出しているか。よく使われる言葉でいうと、一人当たりの粗利に該当する。そして、給与の期待値、つまり、マーケットバリューというのは、「業界の生産性」に最も大きく影響を受ける。

いくら技術資産や人的資産が高くても、そもそもの産業を間違ったら、マーケットバリューは絶対に高くならない。

 

技術資産も人的資産もない場合は、「生産性が高い産業」か、「エスカレーターが上を向いている産業」を選べ

これはまさに就活生が参考になる言葉だなと感じます。これから技術をつけ、人脈を増やしていく学生なら、「伸びている産業」に身を置くことも、市場価値を高める要因の1つです。

 

雇われるのは当たり前ではない

「これからは個人の時代だ」というような言葉を最近よく耳にします。組織で働かない、という人は今後、今以上に増えてくると思います。

 

これに近いことが、本書でも書かれており、大学生が必ず意識するべき内容だと思います。

彼らは雇われることが当たり前だと思っていて、何も努力をしてこなかった人々だ。楽をするために勉強をしてきた人間は、楽をするために就職する。安定して給料がもらえること、それだけがモチベーションだ。そんなやつらが努力するか?彼らにとっては就職することがゴールだったんだよ。

(この本は、メインの部分が物語形式になっていて、「彼ら」とはもうすぐ倒産するホテルでだらだらと談笑している従業員のこと)

組織にいると、給与は当たり前のようにもらえるものと勘違いする。そして大きな会社にいる人間ほど、実力以上の給与をもらっていることが多い。その中の多くの人間は、会社が潰れそうになったり、不満があると、すぐに社長や上の人間のせいにする。だがな、勘違いするんじゃない。君が乗っている船は、そもそも社長や先代がゼロから作った船なんだ。他の誰かが作った船に後から乗り込んでおきながら、文句をいうのは筋違いなんだよ。

 

これから逃れるためには「金を稼ぐ力」が必要だと書いてあり、その中でマーケットバリューを高めるということは大事になってくるのです。

 

「彼らにとって就職することがゴールだったんだよ」という言葉にドキッとした人は多いと思います。

この視点を持っているか持っていないか、というだけでも、就活、その後の社会人人生を大きく変えていくなと感じます。

 

「好きなことを仕事にする」とは何なのか

「これからは個人の時代だ」という内容と同様、「好きなことを仕事にしろ」「やりたいことを仕事にしろ」という言葉をよく耳にします。

 

けれど、多くの大学生は「やりたいことなんてわからない」と思っていると思います。

 

そんな悩みをこの本は劇的に解決へと向かわせてくれると思います。今まで見てきたどんな内容のものよりも納得することができました。

 

大学生に特に読んでもらいたいのは最後のこの部分です。多くの人が「好きなことを仕事にする」ことへの考え方を変えることができると思います。

 

ほとんどの人に、「やりたいこと」なんて必要ない

重要なのは、どうしても譲れないくらい「好きなこと」など、ほとんどの人間にはない、ということに気づくことなんだよ。

 

そもそも人間には2つのタイプがいます。

ラベル名

・to do(コト)に重きを置く人間…何をするか、で物事を考える。明確な夢や目標を持っている

・being(状態)に重きを置く人間…どんな人でありたいか、どんな状態でありたいかを重視する 

 

実際のところ、99%の人間が君と同じ、being型なんだ。そして99%の人間は「心からやりたいこと」という幻想を探し求めて、彷徨うことが多い。なぜなら、世の中に溢れている成功者は、たった1%しかいないto do型の人間が書いたものだからな。

彼らは言う。心からやりたいことをもてと。だが、両者は成功するための方法論が違う。だから、参考にしても、彷徨うだけだ。

好きなことがあることは素晴らしいことだ。だが、ないからといって悲観する必要はまったくない。なぜなら、「ある程度やりたいこと」は必ず見つかるからだ。そして、ほとんどの人が該当するbeing型の人間は、それでいいんだ

(「君」とは、物語形式の中での主人公で、「心からやりたいこと」がなく、悩んでいるサラリーマン)

 

この文章を読んだ時心の中にあったモヤモヤがすっと消えたような感じになりました。

 

「好きなこと」や「やりたいこと」がわからなくて悩んでいる人のほとんどはbeing型の人だと思います。being型の人は、「好きなこと」がわからない自分にぼんやりとコンプレックスを抱いているということがあると思います。

 

けどこれは、何を大事にするかの価値観の違いであって悲観する必要なんてないということを本書で学ぶことができました。

 

being型の人が大事にするべきこと

もう一度being型のがどんな人なのかみてみます。

・being(状態)に重きを置く人間…どんな人でありたいか、どんな状態でありたいかを重視する 

 

この「状態」には、「自分の状態」と「環境の状態」の2つがあります。

1.自分の状態:主人公は適切な強さか。主人公は信頼できるか

2.環境の状態:緊張と緩和のバランスは心地よい状態か

 

そもそも多くの人間は、幼少期から勉強や、運動、仕事など多かれ少なかれ「何かしらの努力」を積み重ねている。そして常に「倒せそうで倒せない」ような、環境を経て成長する。つまり、being型の人間にまず、必要なことは、主人公である自分が環境に対して適切な強さであるかどうかなんだ。

この「強さ」が最初にいったマーケットバリューになります。

仕事を楽しむためには「マーケットバリューがある程度あること」「求められるパフォーマンスとマーケットバリューがある程度釣り合っていること」は必要条件なんだよ

 

だからこそマーケットバリューは重要であり、大学生にとっては「専門性」がキーワードとなるのです。

 

またもう1つ大事なことがあります。それは「自分への信頼」です。ここで言う信頼とは、「自分に嘘をつかない」ということです。

being型の人間にとって、自分への信頼を保つのは難しい。嘘をつかざるを得ないとき、「やりたいことのためには手段を選ばない」という言い訳ができるto do型の人間と違って、being型は精神的に逃げ場がないからな。いくら強くなっても、仕事で嘘をついている限り自分を好きにはなれない。

つまり、being型の人間にとって重要なことは、マーケットバリューを高めること。そのうえで「迷ったときに、自分を嫌いにならない選択肢を選ぶこと」だ。

「迷ったときに、自分を嫌いにならない選択肢を選ぶ」ということは大切ですよね。

 

「手段を選ばない」という強さがない人って「自分を嫌いにならないことを見つける」という優しさがあると僕は思います。自分を嫌いにならない選択を続けることで「なりたい自分」になれるのではないでしょうか。

 

まとめ:「好きなこと」がわからない人はとにかく読んでみよう

繰り返しになるのですが、僕はこの本で「好きなことを仕事にする」の定義が変わりました。

 

今回は僕が就職前の大学生にも参考になるなと感じたところを中心に紹介していますが、それ以外にも働く上で勉強になることがたくさんあります。

大学生はぜひ1度読んでみてください。